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《 乳幼児の下痢について 》
乳幼児の下痢の原因
乳幼児や幼児期、特に乳児期では消化管の局所防御機構(腸の抵抗力)が十分発達していないため、いろいろな原因(下図)によって下痢が起こります。
○ 腸のウイルス感染
大半がロタウイルスによる
(冬季に多い)
○ 食餌の過誤
過食、冷たい飲料の飲みすぎ、汚染された食物の摂取など
○ 腸の細菌感染
カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌などによる
(夏場に多い)
○ 養護の過誤
寝冷え、高温多湿、低栄養、過度の疲労、非衛生的な養護など
○ 先天性異常・体質
消化管の奇形、先天性の酸素欠損症(乳糖不耐症など)・免疫の異常など
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頻度の高いロタウイルス感染による下痢(冬季下痢症)
乳幼児の下痢症のほとんどはウイルス性で特にロタウイルス感染によるものが大半を占めます。わが国では12月~3月頃の寒い時期に流行するので、別名「冬季下痢症」と呼ばれています。
*その他、ロタウイルス胃腸炎、乳幼仮性コレラ、白色便性下痢症、乳児嘔吐下痢症、感冒性下痢症など多くの診断名で呼ばれています。
冬季下痢症の主な症状
1 下痢:白色~灰黄色の水様便(一日数回~十数回)
2 嘔吐:病初期の1~2日目までに発症することが多く、しばしば下痢に先行
脱水症状(下痢、嘔吐が激しい場合にはくちびるが乾き、尿が少なくなる)に注意!!
病原性大腸菌O-157感染による下痢
O-157は人の口から感染します。この菌は腸管出血性大腸菌ともいい、ベロ毒素という強い毒素を出しますが治療を受ければ通常4~5日で治ります。ただし、抵抗力の弱い乳幼児などは、まれに尿毒症を併発し重症になる場合があります。
O-157の主な症状
1 血便(下痢)時に嘔吐を伴う
2 腹痛
3 発熱、上気道症状(せき、鼻汁)を伴うことも少なくない
下痢をそのままにしてはいけないわけ
激しい下痢をしたり、いく日も下痢が続くと体の中からたくさんの水分が失われ栄養分の吸収も障害されるため、脱水や栄養障害などがおきてきます。とくに、乳幼児では、大人に比べて下痢や嘔吐による脱水を起しやすいため、重症化する恐れがあります。そのため、早期に脱水症に対する処置と下痢の治療を行うことが重要となります。
《 下痢時の留意点 》
食べもの・飲みもの
母乳栄養児 :母乳は続けて飲ませてください。(必要に応じて乳糖分解酵素を処方する場合が あります)
人工栄養児 :*必要に応じて無乳糖ミルクを処方する場合があります。
離乳期乳児、幼児:下痢が比較的軽いときには重湯、粥、あるいはやわらかく煮たうどんを食べさせ
ましょう。下痢の激しいときは白湯(湯ざまし)、番茶、乳児用イオン飲料、スポ
ーツドリンクなどを少量ずつ頻回に飲ませ、水分の不足による脱水を防ぎましょ う。下痢が回復するにつれて順次粥食、病前の食事に戻していきます。
● 食べてよい食品 *脱水時は、イオン飲料が一番腸から吸収されやすいです。
☆急性期 :小児用イオン飲料
(アクアライト、アクアサーナ、小児用ポカリスエットなど)
野菜スープ、にんじんスープ、りんごジュース、番茶、くず湯、ゼリー
☆回復期
(軟便になったら) :5分がゆ、煮込みうどん、つぶしたじゃがいも・にんじん、白身魚、
りんご、バナナ、もも、半熟卵黄
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● 避けたい食品 *基本的に炭水化物を先にとり、タンパク質、脂肪は控えましょう。
☆冷たい飲みもの、食べもの:清涼飲料水(コーラ、ファンタ)ジュース、アイスクリーム
冷たい牛乳など
☆脂肪の多いもの :揚げ物、バター、脂肪の多い肉(ハム、ベーコン、豚、牛)
魚(いわし、さんま、ぶり、さば)卵など
☆繊維の多いもの :いも、ごぼう、わらび、ぜんまい、菜っ葉、豆類、果物、海藻など
☆砂糖分 :ケーキ、菓子類、カステラ、チョコレート、プリンなど
☆その他 :赤飯、すし、ラーメン、カレー
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下痢治療食の作り方
野菜スープ じゃがいも、にんじん、トマトなどを煮崩れない程度に煮て、ごくうすい塩味を
つけ、汁の部分だけを用いる。出来上がり量は野菜重量とほぼ等しい量。
にんじんスープ にんじん正味500グラムに食塩少々を加えて2時間煮て裏ごしし、水を加えて1リ
ットルにする。市販のにんじん裏ごし(缶入り)を水で2倍に薄めてもほぼ同様 のものができると記されている。
全がゆ 米100g+水500mlねっとりするまで炊く。又は炊き上がりごはん1と水1を同 様に炊く。
おもゆ 米50g+水500ml米粒がとろけるまで炊く(5分がゆ)。これの上澄みを用い る。
煮込みうどん ふつうよりも柔らかく煮る
つぶしじゃがいも 煮崩れるまで煮てスプーンでつぶす。 | ● ●● ●●● |
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